6人が本棚に入れています
本棚に追加
花蕾から男の太い手が離れる。
突然のことに思わず振り返ると、男は地面に倒れて伸びていた。
――私たち以外に誰か居る?!
とにかく今のうちに逃げなければ。
助けてくれたその“誰か”が味方だとは限らないのだから。
そう。逃げなければいけないのだが……
(何で!?何で体が動かないの!!)
焦る心とは裏腹に、体は力が抜けてしまったように動かない。
「……何をしている!!こっちだ!!」
不意に腕を掴まれ、そのまま引っ張られた。
(……良かった、悪い人ではなさ、そ……)
花蕾の意識はそこで途切れた。
最初のコメントを投稿しよう!