動き出す運命

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花蕾から男の太い手が離れる。 突然のことに思わず振り返ると、男は地面に倒れて伸びていた。 ――私たち以外に誰か居る?! とにかく今のうちに逃げなければ。 助けてくれたその“誰か”が味方だとは限らないのだから。 そう。逃げなければいけないのだが…… (何で!?何で体が動かないの!!) 焦る心とは裏腹に、体は力が抜けてしまったように動かない。 「……何をしている!!こっちだ!!」 不意に腕を掴まれ、そのまま引っ張られた。 (……良かった、悪い人ではなさ、そ……) 花蕾の意識はそこで途切れた。
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