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「何故助けたと思った。
そなたを助ける振りをして此処に閉じ込めているのかも知れないというのに。」
愛想の欠片のない声で返される。
「……何を言ってるの?
こうして私は助かっているじゃない。だからお礼を言っただけよ。」
臆することなく言い返す。
それに少し驚いたように軽く目を見張り、やや間があって口を開いた。
「……次に……もし次に逢うことがあったなら、名を教えよう。」
そう言うと、花蕾に背を向けた。
「待って!……それってどういうこと?」
思わず呼び止める。
寸刻の間があった。
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