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「蘭華様!本当に市へと行ったら、勉強なさるのですね?」
「えぇ。
まぁ花蕾、見て。素敵な髪飾りだわ。」
白都の宮の外、朱栄の市場へと白都蘭華と朱花蕾は来ていた。
蘭華の侍女である花蕾は、一国の姫である蘭華の外出に異を唱えたのだが……
心の広すぎる王と王妃の許しが出たので、こうして市へと出てきているのだった。
さすがは蘭華の両親である。
「まぁ……。紅茶って葉っぱだったのね!」
無邪気にはじゃぐ蘭華の隣で、花蕾は本日何度目かになる溜め息をついた。
(こうなったら私が世間知らずな蘭華様を御守りしなければ!)
意気込む花蕾をよそに蘭華は次々と感心だか感嘆だかの声を漏らしている。
「蘭華様、あまり私の側をお離れにならないでくださいね?」
返事は、ない。
「蘭華、様?」
いやな予感に恐る恐る振り返ると……
『まさか』というよりも『やはり』そこには姫はいなかった。
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