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「思ったより順調に調査できています」
メインオペレーター兼技術担当主任の天野ユカ(二尉)が言った。
「そうだな」
エアリア空軍総司令官のエドワード洋子(大佐)が答えた。
「よかったよ、出発直前まで微調整をしていた大気中化学物質観測システムが無事に動いて」
そうつぶやいたのはデータ管理兼セカンドオペレーター担当の麓ハジメ(三尉)。
「けれどもやっぱり隊員のバイタル数値は良くないですね」
とつぶやいたのは生命維持管理及びサードオペレーターの柏木ノリコ(三尉)だった。
この管制室はエドワード大佐を中心に副司令官に天津間コウゾウ(中佐)、主任は天野、その下に麓、柏木、そして物静かな岸谷ショウヤ(三尉)がいる形態をとっていた。
「大佐、少し気になることが…」
控えめな言い方で岸谷三尉が言った。
「どうした?」
「はい、このデータなんですが…」
といいながら岸谷は手元のキーボードを動かし、主モニターに新たなページが展開された。
「右側がフロンティア号、左側がリカバリー号です、両船体の外部隔壁温度を3D画像に反映させました。」
「それで、どこが問題だというのかね?」
副指令が言った。
岸谷ショウヤ三尉は船体の監視ならびに周辺のレーダー監視が主な仕事の、管制室専属の管制官だった。
なので、ほんのわずかな違いも見つけて対処していた。
「はい、これは調査開始前の画像です、次に表示されたのが調査開始後五分の温度です。どちらの船も外部船底部分の温度上昇が見られます。しかし、船から送られてきた大気中ならびに地表温度は変化していません。」
「どういうことだ?」
大佐が口を挟んだ。
「計器の故障か?」
「それはありえません。」
メインオペレーターの天野主任が答えた。
「故障であれば何らかの異常警報が作動するように設計しています。」
「しかし、実際に送られてきたデータは…」
「わかった、それでは両船に異常がないかチェックさせろ」
大佐の号令により現場に緊張が走った。
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