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管制室の二階、ロフト状になっている場所に、管制室を見下ろす形で見学室があった。
その部屋の中で口々に不安な言葉を漏らす乗組員家族がいたのだった。
「トラブルか…」
「そんな…」
「どうなってるんだよ!」
このミッションに関係する家族が招かれていた。
そんな中、小学校一年生くらいの男の子が、無表情のまま、ガラスにへばりつくようにして、管制室を見つめていた。
「乗組員に速やかに生命維持装置を装着後させ、緊急脱出ポッドで脱出させろ」
エドワード大佐の指示が管制室に響いた。
「了解。こちら管制室フロンティア、リカバリー号の全乗組員は生命維持装置を装着後、速やかに緊急脱出せよ、繰り返す…」
その指示は無線を通じて速やかに伝えられた。
『了解、フロンティア、30秒後に脱出完了予定』
『リカバリー、45秒後に脱出します』
という返事が返ってきた瞬間、管制室の全モニターの数値がゼロを示した。
主モニターに表示されていた外部および内部カメラの映像もノイズになり、大きく
《LOST》
が表示されていた。
一瞬なにが起きたか誰も把握できていなかった。
そして、天野主任の声が響いた
「フロンティア号、リカバリー号、聞こえますか?」
管制室にはノイズだけが広がっていた。
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