~耐え難く、かけがえのない刻の合間の終わり~

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カイマ博士の態度が気になった時、ふと自分の身体が上手く動かない事に気が付いた。 場所は360度全てが白い壁に囲まれたようなところで、僕の家なのか外なのか判然としない。 光源は見当たらないのに周りは明るく、台に寝かされている僕の身体は――。 「え?」 ――左腕と左足が、無くなっていた。 「あららぁ、今頃気付いたの? そうよね、痛みがないから理解しにくかったわよね~」 いつもの白衣には赤い汚れが付着していて、カイマ博士の唇も恐ろしいほど艶やかな赤色をしている。 いや、それよりも……僕の手足がない? 何度見ようと左腕と左足は存在せず、緑の手術衣のような服からは、右側の手足しか伸びていない。 だというのに、痛みは全く無い……普通を容易く通り越した異常に晒されて、それでも僕は懸命にカイマ博士を睨みつけた。 「僕に何をしたんですか!?」 博士は一瞬きょとんとした、外見に似合わず子供っぽい表情をした後。 「――あは、はははははっ。ははははははは!」 甲高く、ひび割れた笑い声を上げた。 赤い唇が裂けて更に真っ赤な口内が覗き、呪詛のような笑い声が吐き出され続ける。 いつもの温和で知的な博士からはかけ離れた声に、僕は二の句を継げられず呆然となった。 すると突然博士は笑うのを止め、首の動作だけでこちらを向いた。 ――その手には、僕の左足が握られていた。 「私は切り落としただけよ? 別に鎮痛剤も何も使ってないから、もし痛みがないのならそれは君自身の力~……痛覚を遮断できる、触手体としての機能よぅ」 「触手、体……?」
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