~包み隠さない気持ち~

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「人体に悪影響といわれる電磁波はね、変動磁場――つまり振動する電磁波の事なのよぉ。それはDNAの塩基配列をおかしくしたり、成長細胞の細胞分裂時に遺伝子障害を発生させたりするわ。白血病も、骨髄から生み出される白血球が電磁波の影響を受けて発症すると言われてる。もちろん電磁波発生装置なら、そんな危ない電磁波だって簡単に発生させられる。そして君は、今からその電磁波を全身に浴びまくるの~」 「…………え?」 「大丈夫よ~、痛みとかは無いから。ただ、そうねぇ……身体的な変化は表れるでしょうけど」 ちょ、ちょっと待ってほしい。 電磁波発生装置の危険性を言った直後に、それを僕に浴びろなんて意味が分からない。 僕に白血病になれと言いたいのだろうか。 「理由は、電磁波を浴びる理由は何なんですか!」 「つまりね、凛斗君は電磁波の影響を受けて――王子と細胞レベルで融合しちゃおうって事なのよ」 「細胞、レベルで……」 「そうよぉ。王子と凛斗君のDNAは生物学的にまったく違うものなの。だからまずは塩基配列を狂わせ、ごちゃまぜにする。そこで強制的に成長細胞の細胞分裂を促して、乱れて散らばった配列同士を繋げるの。結果新たな塩基配列が組み上がり、今までとは異なったDNAが形成、その情報に従い細胞分裂が行われる、と。これは王子が平行世界ではない別次元にいるから出来る、裏技のようなものだけどね~。多元的宇宙だったら顕現化は疑似でしかなく、質量は伴わないはず。空間深度と歪曲の幅が振り子のように一定ならまだ色々と方法はあったけど、凛斗君の感情によって不規則に変わるから、距離も時間も関係ない電磁波でのアプローチが一番適切だと思ったのよ。さてと――質問はあるかしら~?」
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