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「うひゃん!?」
驚いた声を出すミッちゃんに構わず、クーちゃんは揉む。揉みしだく。揉みまくる。
「ひ、姫……何を?」
頬を赤く染めながらも冷静に聞くミッちゃんに、「うぬぅ、また大きくなったな」と呟いていたクーちゃんが視線を合わせた。
「ミツキよ、自己犠牲の精神も尊いものじゃが、ワシがそういった事を好いてないのは知っておるじゃろ? ワシを大切に思ってくれるのなら、自分も大切に思ってくれ」
「……そんな事を言っている場合じゃない、と言っても聞いてはくれませんね」
「うむ、二人で切り抜けようぞ!」
ミッちゃんは呆れの溜め息を吐きながら、どことなく安心した目をしていた。
でもそれは、自分の命を投げ出さないで良かったという安心じゃなくて――きっと、付き添う相手を間違えなかった、選択を誤らなかった事への安心。
危機の中、背中を預け、心を安らげて、クーちゃんとミッちゃんは男達を睨みつけた。
「平和的拘束に失敗。これより武力行使へと移ります」
「ふんっ、最初から痛め付ける気満々じゃろうが……やるならやれ、しかし心得よ。ワシは死ぬまで暴れまわるからの!!」
男達の持ったプラズマ銃が光る。
だけど今の僕じゃまだ遠く、間に合う事なんて無理だ。
――しかし、それは融合する前までの話だ。
靴底を破って足の裏から触手を出し、バネのように地面へぶつけた。
高く高く跳躍した僕は、空中で身体を回転させて下の皆に右手を向ける。
腕の皮膚を突き破って現れた触手を、狙いを定めて十数本と伸ばした。
プラズマ弾が発射されるより早く触手は男達の腕を貫き、驚く間も与えず触手の先端を開いて丸呑みにする。
粘液の性質を強酸性に変えると、あっという間に男達はプラズマ銃ごと溶けていった。
「な、なんじゃ……」
急に現れた触手に驚くクーちゃんの目の前に、僕は空中から着地した。
その際の衝撃でアスファルトにヒビが入ったが、僕の再編成された身体はまったくの無傷である。
「……凛斗、様」
驚愕の目で見つめるミッちゃんに、僕は軽く笑いかけた。
「間に合ったね――良かった」
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