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「――よし! ワシは凛々を信じる。未来の旦那を信頼せんで、なにが婚約者じゃ。ワシらの愛があれば、ミズヌシなんぞちょちょいのちょいじゃ!!」
愛って……でも納得してくれて、良かった。
方針が決まったんなら、後は実行するまでだ。
僕達はミズヌシの方を向き、最終的な打ち合わせをした。
「まずミツキは電磁波発生装置を使って、コードと本体の連結部に電磁波を照射してくれ。なに、起動させてタイマーをセットしたら投げるだけでいい。そうすれば、一瞬だけじゃがA.Iの集積回路にエラーを起こせるはずじゃ。その間に凛々がハッチを開け、ワシが中に入る……防衛機能が再起動した際は、凛々の触手の力が頼りになる」
ミッちゃんはどうやら相当の機械オンチらしく、書き換えが出来ないばかりか最悪ミズヌシを自爆させかねないらしい。
別にそれでもいいんじゃと思ったけど、半径一キロの物は全てが消滅する威力なんて聞いたら、僕もミッちゃんに任せる事は出来なかった。
「姫……ご武運を」
「ミツキこそ、まだ有機体がいるかもしれんから注意するんじゃぞ――なに、ワシには力強い婚約者が付いとるから大丈夫じゃよ」
「それじゃあ、やろうか」
三人で頷き合い、ミッちゃんはミズヌシの後ろ側、僕とクーちゃんはミズヌシの前側へと走り出した。
まずはミッちゃんが作戦を成功させないと始まらないので、僕達はミズヌシの吐く爆弾に注意しつつ、付かず離れず移動していた。
「そういえば、さっきの『最初のあの時』っていつの事なの?」
移動しながら、気になっていたクーちゃんの言葉について聞いてみた。
するとクーちゃんは一瞬悲しそうな顔をしたけど、すぐに笑顔へと切り替えた。
「……ん、覚えとらんのならいい。別段何かがあったというわけではないし、ほんのささいな事じゃからの」
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