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「こんな時に、何をっ……ん……はぅんっ」
「ごめ……ん、粘液を満遍なく塗らないと危ないから、さ」
羞恥に頬を染め、身体をくねらせて逃げようとするクーちゃんに僕は触手で粘液を塗っていく。
服の上からは勿論、ワンピースの下にも触手を潜りこませ、そのきめ細やかな肌に染み込ませるように、粘液をコーティングしていく。
「っ――――――!!」
クーちゃんが何かに耐えるように目を瞑って、身体を小刻みに振るわせた。
クーちゃんの身体から発せられるメスの匂いが一層濃くなり、表情もとろけたようになっている。
「もう、充分……だね」
先ほどから、電流により僕の意識は飛び飛びだ。
絶縁体の触手は全てクーちゃんに回したので、今僕には二万アンペアの電流が直接流れている事になる。
さっきから、自分の細胞が恐ろしい速度で死滅していってるのが分かる……それでも決してクーちゃんを離さず、触手と粘液で電流から守っていた。
クーちゃんに、守られてるっていう意識はないみたいだけど。
「り、凛々……こんな時に、悪ふざけも大概にせんかっ」
「ふざけては、ないんだけど……それじゃ、いく、よ」
「ふぇ――」
呆けたような声を最後に、触手でもってクーちゃんの身体全てを包んだ。
多少息苦しいかもしれないけど、これなら完璧に電流を防げるはずだ。
そのままハッチの開いた入口に突っ込み、中に入った事を確認して、花弁が開くように触手を開いた。
「ぷ、はぁ! 凛々、一体何を――と、ここなミズヌシの中か? という事は、成功したんじゃな!」
クーちゃんの声がする。良かった、無事に侵入できたみたいだ。
僕は力を振り絞ってハッチを閉じた。
これで万が一にも、電流が中に漏れる事はないはずだ。
(あぁ、もう無理かな?)
何気なく思った瞬間、左の耳で癇癪玉が破裂したような音が鳴った。
どうやら鼓膜が破れたみたいで、何も聞こえなくなった。
僕の身体から上がる煙は焦げ臭く、脂肪の焼ける匂いというのに吐き気がこみ上げた。
少しだけ吐いたら、また、赤黒いものだった。
僕の身体は、こうやって人間として必要な器官を捨てて、作り変わったんだろう。
それでもやっぱり……電流が流れ続けるのには耐えられなかったみたいだ。
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