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「こんな…話は…聞いてないぞ…」
誠司先輩は歯の隙間から絞り出すようにして一言を放った。
俺は何も言うことができず、黙って兄貴に目を移した。
「そこに全て書いてある通り、春休みに申請ついでに生徒会室の使用許可もとって入部志願者は俺と弟で2人以上につき条件は満たしてる。」
「くっ…」
何も言い返せないでいる誠司先輩は、俺から見ても凄く不憫だ。
たった2人しかいない生徒会で何の相談・報告もなしに預かり知らないところで全てが終わっている…。俺は嫌だな…。
兄貴は、何で何も言わなかったんだ?どうしてこんなことして平気な顔してんだよ…。ゆっくりと俺の奥底から熱くぐるぐるとした感情が鎌首をもたげた。
口を開こうとしたとき…
「…分かったよ…」
誠司先輩はそう言うと握りしめていた申請許可証を机に乱暴に置いた。
「誠司先輩…あの…」
何とかしようと何かを言わなければと、誠司先輩を呼び止めたが、言葉が続かない…。
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