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誠司先輩は無言で俺を見つめ、続きを促してくれたが何も言えなかった。
無言で唇を噛みしめ俯いた俺は、そっと肩に置かれた手に顔をあげた。
「君がそんな顔をする必要はない。兄の分まで背負わなくても良い。君は君だろう?何もしてないんだから気にするな。」
俺は、哀しくなった。
逆に俺が気遣われてしまうだなんて…なんて情けないんだ。
「君は君だ。兄だからといってムリに付き合わなくても良いんだ。時にははっきり断るのも大切なことだよ。君は…君であって彼ではないと俺は思ってるからね。」
俺にまっすぐ視線を合わせて言うと、誠司先輩は軽く微笑んで生徒会室から出ていった。
「誠司先輩…」
何なんだ!!畜生!!
「おい、兄貴!!良いのかよ!?先輩帰っちまったぞ」
きっと睨み付けて叫んだ俺に、兄貴はのほほんと笑って一冊のファイルを手渡した。
「何だよ…これ」
「良いから見てみな」
“歴代生徒会役員名簿”
ついているタイトルを見て兄貴の態度に不信を抱きつつ渋々開いてみた。
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