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「千鶴ちゃん…?」
目の前には幼い頃からの友。
ただ、男物の袴に、『なにか』と同じ浅葱色の羽織を羽織っていた。
「……千鶴ちゃんの友達?」
「沖田さんにも話した事、あると思います。剣術に優れている友達がいるって。」
沖田って………。
そうだ、この羽織に、沖田。
人切り集団の新撰組…。
「……立てるか?」
寡黙そうな男に声を掛けられる。
「大丈夫です。」
落ち着きを取り戻して、腰をあげる。
「お前、何を見た?」
「斎藤さんっ!」
千鶴ちゃんが口を挟んだ。
「凛ちゃんは大丈夫です!信用して下さい!!」
千鶴ちゃんの必死な説得に斎藤と言う男は苦虫を噛み潰したような顔をする。
「………決めるのは俺ではない。副長に判断をしてもらう。」
「……斎藤さん…。」
全くもって意味が分からない。
話の内容的にはきっと私の処遇だろう。
でも、当の本人をここまで蔑ろにさせられる意味が分からない。
「千鶴ちゃん。ごめん、意味が分からないよ。私の事なのに私抜きで話、進めないで?」
凛が怒っている事に気付いた千鶴は狼狽えている。
「自分が見た物のせいで死ぬかも知れないって言うのに気が強い子だねぇ。」
くすくす笑う沖田に凛は腹を立てるが、生理的に沖田とは合わないと判断し突っ掛かる事はしない。
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