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「ここが、京の都かぁ…。千鶴ちゃん、何処にいるのかなぁ…。」
凛は、連絡の取れなくなった友を追い江戸から京にやってきた。
「もう日も暮れてきたし、一先ず宿を探さないと。千鶴ちゃんを探すのはそれからよね。」
凛が歩き出そうとした、その時。
「おい、そこの女」
その声に溜め息をつきながら振り返ると、浪士が凛に視線を向けていた。
「……何か用ですか?」
剣術には自信がある。
追い剥ぎ等だったら、殺してしまえばいい。
腰にある太刀へ手を掛けながら浪士に問い掛ける。
「女のくせに、いいもん持ってんなぁ。
国の為に俺が使ってやるよ。
……寄越せ。」
はぁっと大きく溜め息をつき、刀に手をやった。
その一瞬の間に――
「ぎゃああああああ!」
浪士の絶叫が聞こえた。
「…え?」
そこには浅葱色の羽織を羽織った『なにか』が居た。
「た、助けてくれぇっ!」
浪士は重症ではあるが、致命傷では無いようだ。
「た、頼む!助けてくれよ!」
「ひひ、ひひひ…」
命乞いをしながら後退する浪士。
でも、『なにか』はなんのためらいもなく刀を振るう。
「うぎゃああああ!」
浪士の断末魔に、気味の悪い笑いが重なる。
もう、事切れた浪士に何度も何度も刀を突き刺す。
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