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「あれ?いいんですか、殺さなくて。この子、さっきの見ちゃったんですよ?」
沖田は不思議そうに目を細める。
「余計な事喋んじゃねぇよ。下手な話を聞かせれば始末せざるを得なくなるだろうが。」
さっきのは見ちゃいけないものだったんだ。
隠しておきたいものだったんだ。
「バッチリ見ちゃったよね?」
ニコニコしながら問いかけてくる沖田。
見ましたとでも返事をしたらすぐにでも殺されるだろうな……。
「み、皆さん!」
「「千鶴ちゃん…?」」
千鶴ちゃんらしくない大声に戸惑いながらも先を促す。
「何?千鶴ちゃん。」
「凛ちゃんの話も聞いてあげて下さい…。凛ちゃんを殺さないで下さい…。」
泣きながらお願いしますと何度も頭を下げる千鶴ちゃんを見てると目頭が熱くなる。
「熱い友情だねぇ」
「沖田。からかうような事はするな。副長、一先ずこの者の処分は帰ってから決めませんか?ここに長く留まれば他の人間に見つかるかもしれない。」
「そうだな。斎藤の言う通りだ。」
斎藤さんは周囲を見渡しながら移動すべきだと進言した。
処分……か。
友達を探しに来ただけなのに。
「こうも血に狂うとは実務に使える代物ではないですね。」
「斎藤さん!凛ちゃんに…」
斎藤さんは私を一瞥するとすまないなと千鶴ちゃんに謝った。
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