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「羽織だけ脱がしとけ。山崎君がなんとかしてくれんだろ。」
「御意。」
「隊士が斬り殺されてるなんて僕たちにとっても一大事ですしね。」
くすくすと笑いながら同意している沖田を見ていると苛々する。
そんな私の心を見抜いたかのように沖田はこちらを向き
「ねぇ、助けてあげたのにさ、お礼の一つもないの?」
「………は?」
唐突に話し掛けられて、目を瞬いた。
「頼んで無い。私一人でもどうにか出来ました。」
「足が震えていたくせに?」
「このっ……!」
無意識に刀を抜こうとした私の手を副長と呼ばれている男が止める。
「総司。余りからかうな。お前もむやみに刀を抜こうとするんじゃねぇよ。総司に敵う訳ねぇだろう。」
「……やってみなきゃ分からないじゃないですか。」
「あははは!僕は沖田総司。度胸のある女の子は嫌いじゃないよ。君は?」
腹を抱えながらひぃひぃ笑っている沖田に苛々しながらも挨拶をする。
「……凛です。」
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