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「……わざわざ自己紹介してんじゃねぇよ…。」
「副長。お気持ちはわかりますが、まず移動を。」
呆れ返った声に対して、斎藤という人がふたたびの移動をうながした。
沖田さんは私の手首を掴むと、そのままの笑顔で歩き始める。
手首を掴む力の強さが、私を改めて現実を分からせた。
逃げようとしたら即座に斬られる。
私を生かすか殺すかは、この人達次第…。
歯をくいしばって前を向くと、千鶴ちゃんと目が合った。
「……本当にごめんなさい。私のせいだよね…。」
口を開こうとしたら斎藤さんがきっとこちらを睨んでくる。
仕方なく頭を振ってそんな事ないよと伝える事しか出来なかった。
「己の為に最悪を想定しておけ。千鶴の友人だからと言ってさして良いようには転ばないだろう。」
斎藤さんの言葉が、ぐさりと私に釘を刺す。
私、殺されるのかな…。
やっと千鶴ちゃんに会えたのにな…。
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