5769人が本棚に入れています
本棚に追加
/345ページ
大体、戦争が起きたのは十五年も昔の話だ。
彼に、娘と息子がいるのを一般大衆は知らない。
と言う事は、普通に最年少と考えて、二十。それが十五年たった今で三十五歳であるという事は確実だ。
まさか、十五歳程度で、五十万の敵を全滅させられる訳もあるまい。
理論的にそれは無理だ。
つまり、どんなに夢想したところで、おっさんと化している事は否めない。ましてや、顔を見せないのだから。
いい年こいて、純白の翼をはやしているなんて、どうなんだよ……と思うのが普通だ。
が、何故かそれをしたがらないのだ。みんな。
ファイは、リオンが崩天のルシフェルであるという事を知っているから、別に外見に違和感を覚える訳では無い。
だが、やはり年齢が五百を超しているというのは、なんとも言い難い。
予想を遥かに上回る数字である。
勿論、それにも理由があるのだが。
「先生、そんなに崩天のルシフェル様と話せて嬉しかったんですか?」
ワルキがいい笑顔を浮かべながら、担任に質問をする。
それを皮切りとして、他の生徒からも質問が飛び交う。
「崩天のルシフェル様は格好良かったですか?」
「どんな女性が好みだと言ってましたか?」
「強くなるにはどうしたらいいと?」
「やっぱり、強かったですか?」
「先生に優しくしてくれましたか?」
「抱かれた時の感想は?」
最早、何を言っているのか理解できない。
質問をするなら一人ずつが原則だ。それ以上は聞き取れない。
(つか……明らかに今、おかしいのが幾つかあっただろ)
溜息を吐きながら、ファイはそう思う。
リオンも同様に憂鬱そうだ。どうやら、質問の内容が余り好ましくなかったらしい。
まあ、当然ですけどね。
最初のコメントを投稿しよう!