夏休みの始まりは

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大体、戦争が起きたのは十五年も昔の話だ。 彼に、娘と息子がいるのを一般大衆は知らない。 と言う事は、普通に最年少と考えて、二十。それが十五年たった今で三十五歳であるという事は確実だ。 まさか、十五歳程度で、五十万の敵を全滅させられる訳もあるまい。 理論的にそれは無理だ。 つまり、どんなに夢想したところで、おっさんと化している事は否めない。ましてや、顔を見せないのだから。 いい年こいて、純白の翼をはやしているなんて、どうなんだよ……と思うのが普通だ。 が、何故かそれをしたがらないのだ。みんな。 ファイは、リオンが崩天のルシフェルであるという事を知っているから、別に外見に違和感を覚える訳では無い。 だが、やはり年齢が五百を超しているというのは、なんとも言い難い。 予想を遥かに上回る数字である。 勿論、それにも理由があるのだが。 「先生、そんなに崩天のルシフェル様と話せて嬉しかったんですか?」 ワルキがいい笑顔を浮かべながら、担任に質問をする。 それを皮切りとして、他の生徒からも質問が飛び交う。 「崩天のルシフェル様は格好良かったですか?」 「どんな女性が好みだと言ってましたか?」 「強くなるにはどうしたらいいと?」 「やっぱり、強かったですか?」 「先生に優しくしてくれましたか?」 「抱かれた時の感想は?」 最早、何を言っているのか理解できない。 質問をするなら一人ずつが原則だ。それ以上は聞き取れない。 (つか……明らかに今、おかしいのが幾つかあっただろ) 溜息を吐きながら、ファイはそう思う。 リオンも同様に憂鬱そうだ。どうやら、質問の内容が余り好ましくなかったらしい。 まあ、当然ですけどね。
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