夏休みの始まりは

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仲睦まじい二人の姿を、離れた場所から見ている一つの影があった。 「委員長、一体何をやっているのよ」 カレナが影から、二人をずっと見つめていた委員長に話しかける。 「何って、その……あれよ」 言葉に詰まっている彼女が今まで見ていた方を見て、カレナは意味深げな笑みを浮かべる。 「あの二人の事を気にしていたのね。成程成程」 納得したように、何度もうなずくカレナ。 昔は自分も彼女のようだったのだから、なんとも言えない滑稽さがあるのだろう。 しかし、正体を教えても面白くは無い。そもそも、彼女に教えてはならないのだ。 易々と教えてしまっては、リオンが崩天のルシフェルの弟子であるという事を、隠している意味がなくなる。 それに、彼が教えてないという事は、確実に教えてはいけないのだろう。 「それにしても、まるでストーカーね」 かつての自分に向けての嘲笑も含めていう。 「悪かったわね。あなたも、いつまでもウジウジしてないで、ファイに告白したらどうなの?」 「な、そ、それとは関係ないでしょう!」 「大いに関係しているわ。私は知っているのよ?」 顔を赤くしたり青くしたり、忙しい事だ。 「い、委員長には関係ないでしょう!」 「関係しているわよ。リオンとファイの関係を教えなさいよ」 「何処から、それにつながるのかしら……」 呆れてしまうカレナ。 秘密にしているようなものを、そう簡単に教えられる訳がない。 「ったく。委員長もそんな事を調べているなんて暇ねぇ」 「いいから教えなさい」 「知らないわよ、そんなの」 「嘘おっしゃい」 簡単には信じられるとは思っていなかったが、まさかここまであっさりとなると、流石に引かざるを得ない。 「貴女達が最近、一緒に行動している事は知っているのよ」
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