No.ZERO

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「な、何故…悪魔族の方が妖精界に…あぁ、でもでも、怪我してますしっ………ほ、放っておけないですよね!」 金色の髪を宙にふわりとなびかせると、黒い翼を背中に生やした少年の前に座り込んだ。 リアは少年の頬に手を伸ばした。 肩から背中にかけてバッサリと斬られた傷、溢れる深紅の血は止まることなく、どくどくと流れていく…。 リアは少年の呼吸があることを確認すると、傷口に手のひらを翳した。 「癒しよ…」 ― あたたかい… 重かった身体が浮くように軽い… ― 少年は、これは夢なのか…と目を覚ました感覚がない。 見覚えのない天井に身体を起こすと、ここで異変に気がつく。 背中に違和感。 翼がないことと、あれだけ重かった身体がどこも痛くないこと…。 「あの光り…あの少女が助けてくれた、のか?」 少年は頬を軽く叩いた。 夢じゃない。 それを気づかせてくれる。 少年は自分がいるこの部屋をよく見渡した。 高い天井には2ヶ所の窓があり、眩しい程の陽の光りが射し込んでいる。 男である自分でもジャンプしただけでは、届かないとこにある窓だが、階段も格子もない。 少年はベッドから降り、光りに手を伸ばし、手のひらを翳した。 「…オレと同じ翼のある奴なのか?」
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