No.ZERO

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「…あ」 「え、君は…」 リアが部屋へ戻ると、少年は陽の光りに手を翳していた。 悪魔には見えないくらい横顔が綺麗で、蒼い瞳からは何だか切ない光りが溢れていたように思えた…。 「目を覚まされて良かったです。 私が見つけてから3日も眠っていたのですよ?」 「3日も…悪かったな」 「いえ、大したことはしていません。 傷は塞がっていますから、休息と栄養摂取ですぐに元気になりますよ! 悪魔さん」 「あ、あぁ…ありが……」 少年はリアの言葉に口を開いたまま固まってしまった…。 リアはどこか具合が悪いのかと思い、はっ!としてオロオロするが…。 「オレが悪魔だって、知ってたのに助けたのか?」 「…やはり、嫌でした? 妖精に助けられるなんて…でも私…」 「違う!助けてくれたことには感謝してる けど、君こそ大丈夫なのか?」 異種族に手を貸すことはこの世界の規律に反してしまう。 リアは妖精。 少年は悪魔。 リアは異種族を助けた罪で反逆者となる。 「この世界に生きるモノ全てへの規律、ですね…。 大丈夫ですよ。 この妖精界でリアという人物は存在していないはずですから…。」 「?」 「私、死んだことになっているんです。 以前も同じことをして、反逆者として死刑になるはずだったんです」 「…異種族を助けた、のか?」 「はい、あの方は確か…悪魔と天使のハーフでしたね。 私がここにいるのは兄が私を逃し、ここで匿ってくれているから… いつまでも、ここにいてはいけない。 貴方は旅人なのでしょう? 私を共に連れて行って下さいませんか?」 リアは少年の手を取り、少年の体力を回復させた。 「命の恩を返すさ。 君のナイトとして、君を守るよ」 ありがとう。 私の中にいる彼女のためにも、私も貴方を守ります…。
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