act.ONE

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「これは魔導学の本に良く記されている、薬草だ。調合すれば薬湯になるんだぜ」 「へぇ~」 タクトは剣士でありながらも、魔術の心得があるらしく、特に調合や薬草に詳しいのだ。 リアは治癒術を得意とするため、他の回復の術を知らない。 タクトはそれを知ると、瞳がキラーン☆と光り、どこから出したのか眼鏡を装着する。 そして、リアの肩を強く掴み魔導学について語り出すのだった…。 「(魔導学、好きなんだなぁ)」 天然少女、ここにあり。 「大丈夫か、リア」 「はい!まだ行けます!!」 ふたりは人間界の地下に存在する地下世界/スラムを目指していた。 場所は何故かリアが知っている。 「タクトこそ、私を守りながら戦うのは疲れませんか?」 「ん、平気だ! 元々傭兵やってたからな。 それに守るだけの姫さんより、リアは支援してくれるから楽♪」 「なら良かった☆ 私、出逢えたのがタクトで本当に良かったと思ってます」 「な、何だよ急に…」 タクトは真横を歩いていたリアの足が止まり、自分も足を止める。 「聞いてもいいですか?」 「……追放されたワケか?」 「はい」 「一緒にいるなら、いつか話すつもりだったからな。構わない。 世界の規律(四神と守護者)の話を知ってるか?」 タクトはスラムへ続く階段に腰を下ろし、話し始めた。 「昔に実際あった、悪魔と天使の戦いの話でしたね。 朱雀がパートナーに選んだ少女が悪魔と天使の歪みを正した、と。」 リアもタクトの目の前に腰を下ろす。 「そう。それから天使が天上、悪魔が地下…という概念は断ち切られ、世界に種族ごとの集落が与えられた…けど、オレは知ってしまった。 悪魔と天使と妖精と人間が共存出来る世界作りが成せる術を」 「それって、凄いことじゃない…」 「けど、それは禁忌だったんだ。 同罪になることを恐れた悪魔族の奴等は、オレの記憶からその方法を消し去ったんだ! そして、再び規律に反されないよう、反されても同罪にならないよう、オレを追放したんだ」
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