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暁生(アキオ)は驚いていた。
唐突すぎたかもしれない。
まだ、その時期ではなかったかもしれない。
少し後悔しながらも、それでも美鶴は言いたかった。
言わずにいられなかった。
暁生の全てを自分のものにしたかったから。
何気ない優しさも、ふと見せる笑顔も、心に秘めた何かさえ。
「……しよう」
「えっ?」
美鶴は聞き逃した。
暁生は渋りながらも繰り返す。
「だから、……結婚しようって」
「うそ……」
「何が?」
「だって……」
美鶴の目頭には熱いものがこみ上げ、それを隠すようにうつ向いた。
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