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俺が疑問と唇からの感触で頭をクラクラさせる中、岩瀬はなおも俺の口の中に入り込んでくる。
取り巻きA、Bも、槙原、加茂川、井端の三人娘も、ただ呆然と、ウィンドウ越しにその光景を眺めている。
すると、不意に岩瀬が俺の口を放し、耳元でこう囁く。
「柳原サン・・・・・・アタシに任せてください・・・・・・サユリちゃんを、助けたいんでしょ?」
・・・・・・!?
何を言っているんだ岩瀬!?
これは・・・・・・罠か?
すると岩瀬は俺の頬を両手で押さえ、何をするでもなく、じっと俺の目を見つめる。
「アタシを、信じてください!」
と、言わんばかりに。
その岩瀬の瞳は、もはや“奴隷”の、虚ろなものではなく。
何らかの信念に裏打ちされた“輝き”が、宿っていた。
俺は黙って、彼女に頷く。
車内に入ったとはいえ、周りには武装したDQNと、身体能力の高い色情魔。
絶体絶命は、なおも続いている。
――今は、彼女に賭けるしかない。
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