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「なんか恋人同士みたいですね」
いや、保護者と子供だろう。
「夕飯は何が食べたいですか?」
「野菜」
朝飯は最悪だった。私は体の割には少食だから、菓子パン一つで充分なのだが。
九該が作った朝飯は、ハンバーグ(タマネギ抜き)、唐揚げ、肉じゃが(本当に肉とジャガイモだけ)、鯖の塩焼き、味噌汁(豆腐のみ)、白飯(ふりかけ付き)だった。
私は、白飯、味噌汁、肉じゃが、で充分だったが。
「朝は、沢山食べた方がいいですよ」
とか言ってきたので、普段よりかは多めに食べた。とにかく、今は野菜が食べたい。
「僕、野菜嫌いです」
「お前は食べなければいい」
考えればわかるだろう。
「そうですか、わかりました」
というか待て、
「お前、私の家に住むのか?」
「はい」
即答。
「断る」
「断るのを断ります」
我が儘を通り越しているな。断るのを断られたら、もうキリがなくなるじゃないか。
「いいじゃないですかぁ。家賃も払いますし、食費も払いますし、好きなもの買ってあげますから」
「私は金に汚いが、金に釣られる程甘い女じゃない」
正直、条件は魅力的だがな。
「ん~、じゃあ隣りに引っ越します」
甘いな。
「残念だが、全て埋まっている」
何せ良い物件だからな。
「ちっ」
九該の舌打ちを無視してそのまま学校へ向かった。
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