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腰まである長い髪、しかも色は鮮やかな桃色、染めてるのか地毛なのかが気になるところだ。
「九該(くがい)です。よろしくお願いします」
自己紹介をされた。
私に自己紹介をする必要があるのか?
いや、まだ皆の前で自己紹介していないからか?
それとも、私が聞いてない事に気付いたか?
あと珍しい名字だな。
「倉橋だ。よろしく」
自分でも言葉が少ないとは思うが、残念ながら私は無口だ。
九該もそれ以上は何も言ってこないから、それで話は終わった。
一通り挨拶を終えると、教師が出て行った。
私は授業の準備を始めた。といっても、教科書を開くだけだ。一々ノートに書くのは面倒くさい。
九該は何も準備していない。
授業する気がないのか? 別に口出しする気はないが。
「あ、忘れてた」
教室の出入り口からそんな声が聞こえた。見てみると、教師がドアから顔だけを覗かせている。
なんか、気持ちが悪いな。
「九該はまだ教科書持ってないから倉橋見せてやれ、以上」
そういうことか。
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