あのね....

3/4
前へ
/4ページ
次へ
―――うさぎだから。 彼に気持ちを伝える手段さえ持たない、ただのうさぎだから でも、ね、知ってる? うさぎって、寂しいと死んじゃうんだよ 楽しかったよ ……すごく幸せだったよ? だからもう、泣かないで 彼女から見捨てられてても、私はもういないんだから 私の願いが届いたのか、ある日彼は泣くのをやめた 「もう、お前に心配かけてもいけないよな」 彼は私がいた飼育小屋がわりのケースに呟くと、何日かぶりに外にでた ―――そぉだよぉ。 私はずっと天国から見守っているから だから絶対、幸せになってね ほら、私の大好きな笑顔で笑って? ―――彼は朝の木漏れ日の中にそのうさぎの声を聞いた気がして、空に向かって微笑んだ fine →後記
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加