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――じゃあ、中断した銀の愛についての話を再開しよう
「!!?」
授業が始まって5分、鉄はまた話し始めた。
銀は不意を突かれて、机に頭をぶつけた。
「久遠、どうした?」
教師が顔を上げる。
周りの生徒も注目する。
「……いえ、何でもないです。気にしないで下さい」
強くぶつけて涙目になってしまった。
全員が首を傾げるが、教師が教科書に顔を戻すと他の者も顔を戻す。
――大丈夫かぁ?
痛さの張本人である鉄が平然と話しかける。
(大丈夫じゃない…。鉄のせいだ)
額を摩り、口を尖らせる。
鉄は笑うだけで答えない。
(僕の愛はどうでもいい。違う話にしてくれない?)
退屈そうに頬杖をついて、窓の外を眺める。
――ん~…じゃあさ、何が欲しい?
朝の続きである。
(欲しい物かぁ…。…………恋び――)
――却下、却下ぁぁぁあああ!!!
ポツリと漏らした言葉に素早く反応する。
(嘘だよ)
――ひ、ひでぇ!
溜め息混じりで言うと、やっといつもの鉄に戻った。
(あ~、やっと戻った…。すっごくウザかったなぁ……。)
銀は躊躇いもなく、お菓子を取り出す。
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