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アキラは携帯が無いことに気が付いて慌てて戻る 街灯の下 何にも無い… さっきの紳士もいない タクシーで落とした? いや、ちゃんと手に持って降りたはず どうしよう… 泣きっ面に蜂 もう嫌だ… 嫌だ 情けなくって、惨めで とにかく一度店に戻ろう… 涙をこらえて歩き出す。 柳本は居心地が悪かった こんな店に来るのは初めてだ。 本当に育ちの良いお坊っちゃん 店内をキョロキョロ見渡す。 カクテルを頼んでみたけれど、車で来ていた事を思い出し、人知れず苦笑いする いつも彼はこんな風で、若い頃は可愛らしいで通ったけれど… 大人になりきれない自分にいつもがっかりする もう少し、要領よくできないか? 周りに言われる。 見渡せば可愛らしい男の子達 彼等はやっぱりそういう事を…? 携帯を届けたらすぐに帰ろうと思っていた。 そして、泣いていたあの子はこの店で…? そう思うと、そのまま帰るのを躊躇した。 泣くほど嫌な仕事をしなければいけないあの子 思うと胸が痛んで だからと言って何が出来る訳ではないが… ・
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