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柳本はそれを見て安心したように笑う。
「僕はどうも、年甲斐がなくてね…。」
柳本はアキラの緊張を解すように自分の事を一生懸命話す。
仕事の事や、学生時代の話や、取りとめのない話。
場を盛り上げるなんて事はした事もないのに
アキラはそれをただ聞いて、頷いて、運ばれて来た料理を食べ、勧められるままに酒を飲む。
スマートな紳士なのかと思えば、世間知らずなお坊っちゃんのような一面
少年のような人
アキラはすっかりリラックスして自然と笑顔が出て、自分でも驚くほど良く食べた。
そして柳本の調子に釣られて、自分は大学生である事、まだ未成年な事を話してしまう。
「しまった…」
柳本はアキラの年を聞いて渋い顔をする
「ハハ…、これだけ飲ませてしまった後では、今更仕方ないか」
「先生は、おっちょこちょいなの?」
普通は先に聞くものですよ。
アキラは楽しそうに聞く。
「良く、残念な人だと言われるよ。どういう意味だか、あえて聞きたくないがね。」
柳本は笑って答えた。
久しぶりにキチンと食べて、お腹いっぱいで
ただ少し飲み過ぎた
帰りの車の中で眠気が襲う。
楽しかった…
明日なんか来なければいいのに…
控えめに流れる音楽を聞きながら、泣きそうになる。
でも、睡魔の方が早かった。
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