9/24
前へ
/35ページ
次へ
上品な紳士は柳本哲 大学教授 柳本は呆然と立ち尽くす。 何が君をそんなに悲しませた…? こんな、道端でうずくませる程の何が 笑ったらきっと愛らしい顔なんだろうに… アキラが走り去った暗い道を暫し見つめ、気が付いたようにため息をついて苦笑いした。 たった今、見かけただけの子にそこまで感情を揺さぶられるとは 帰ろう 停めた車に向かおうとクルリと体を反転させた と、どこかで聞こえる 無機質な着信音 街灯の下、アキラが座っていた場所に携帯がポツンと落ちている。 柳本は、思わず拾い上げ携帯を開いた どこか店の名前か どうしたものか 悩む中、結構な時間鳴り止まない。 多分、あの子の物… 無くしたと知ったら困るだろうし 柳本は恐る恐る通話ボタンを押し携帯を耳にあてた。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1116人が本棚に入れています
本棚に追加