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いや、本音としては、当たってほしくはないのだが、もしそうなら、今回は何人かに話を聞き、ちょこっとハッキングするくらいで済むだろう。予想が外れたら最初から仕切り直しだが……。
それはさておき、今回、最初にすべきことは、幼馴染に茶を入れることかな。
☆ ☆ ☆
石動氏宅から帰った紗綾は、まずピッチャーのワインドアップみたいな仕草で驚きを、文字通り全身で体現した。
それから、きょろきょろと視線をめぐらせ、そして再び俺と来客用テーブルの上に乗ってるものを矯(た)めつ眇(すが)めつして、
「スイマセン、マチガエマシタ」
何故か片言になり、右足と右手を同時に出すという古典的動揺を示しながらまろびでていった。
失礼なヤツだ。俺が茶の準備をしたのがそんなに驚くことかよ。
それから二、三分ほど経過し、秘書はおずおずと戸のヘリに手をかけ、顔だけひょっこりと出した。ぷらんぷらんとポニテが揺れる。
ひっぱりてーなーと憮然(ぶぜん)とした表情で考え、さすがにそれはまずいかと自重していると、
「……ありえないわ……これは、何かの間違いよ。世界から犯罪から消え去るくらいの衝撃だわ……」
遠慮せずに思いっきり引っ張ってやることにした。
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