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テレビのCMに出そうなダイニングキッチンの中央あたりに四角いガラス張りのそれっぽいテーブルを置き、対面するように、上手(かみて)に二人掛けソファ、下手(しもて)に俺の一人掛けソファを置いているだけだ。
なんとさもしい事務所だろう。涙がちょちょぎれる。
事務所に置いてありそうな黒檀のデスクは、置く場所もなかったし、景観にそぐわなかったため、二階の書斎に放り込んである。だから、資料とかパソコンとかそんなんはすべて書斎にあるはずなのだ。
三十分ほど一階を探し回り、俺はそのことにようやく気がついた。紗綾がいつも言うように、俺は本当にアホなのかもしれないな……。
――果たして。
ポニテ秘書が言う資料とやらはデスクの上に放置されてあった。良かった、失くしてなくて。失くしてたら、また罵詈雑言を浴びせられていたことだろう。
十枚ほどの紙束を持って下に降りる。そして、ソファに尻を置いて、それを眺めようと努力する。
そのタイミングで、暇を持て余して料理をしだした紗綾がハンバーグドリアを運んできた。それを受け取り、代わりに紙束を渡す。
俺と紗綾の仲だ、これだけで俺の言いたいことなど分かってくれるだろう。伊達に、生まれた時から隣にいる訳じゃないのだ。
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