金魚と花火と僕と君

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だが、そんなことを言って岳人の機嫌を損ねるわけにはいかない。 さっきの話は適当に流しておいて、露店でも回ろうかと話す。 そうすればさっきまでの文句も止め、嬉しそうに歩きだした。 「侑士!金魚すくいだ!!」 岳人はバァーッと走ってお金を払い金魚を睨んでる。 おーおー。必死やなぁ。 オレはゆっくりと岳人の側による。 「袖濡れてまうで。」 袖を濡れないように持ってやる。 岳人はそれに気付いているのか分からないが勢いよくポイを水に入れた。 「あーーっ!」 どうやら破れたらしい。 「残念だったね。」 露店のおじさんは金魚を一匹くれた。 「チェッ。出目金ほしかったなぁ。」 金魚を受け取った岳人は立ち上がりそこを後にする。 「出目金は難しいなぁ。」オレは岳人から金魚を取り手を繋ぐ。 「何すんだよ!」 「人が増えてったから迷子にならんようにと思ってな。それと岳人は綿菓子かりんごあめ買うやろ思って金魚持ってあげとんの。」 「ありがとう。」 ちょっと照れた顔で岳人は言った。 その時花火が打ち上がった。 「綺麗だな。」 「岳人のんが綺麗やで。」 岳人がこちらを向いた。 こりゃ、殴られるわ。 だが、オレの腕をギューッと掴んだだけで何もなかった。 こりゃ、照れとるな。 そしてオレ達は花火を眺めていた。 終
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