君は王子様

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どうしようと後退ると壁にぶつかった。 絶体絶命大ピンチ。 侑士に助けを求めたいが何処にいるかも分からない。 勝手に離れるんじゃなかったと悔やんでも後の祭り。 怖さにオレはギュッと目を瞑った。 だが、どんなに待ってもキスされることはなく代わりに誰かが殴られたような乾いた音がした。 ソーッと目を開けると床に倒れている謙也とその横に鬼の形相で立っている侑士がいた。 そして侑士はこちらを見たかと思うと少し表情を緩めこちらに近づいてくる。 はっきり言って怖い。 「大丈夫か?謙也のクソダボはやっつけたったで。酒まで呑まされてもて…水、用意したるわ。」 酒を飲まされたとは気付かなかった。 「何事じゃ!騒がしいぞ。」 老人がこちらにやってきた。 多分、この人が侑士のじぃさんだろう。 「何もありまへん。いつもみたいに謙也とじゃれとっただけや。」 侑士は平然と言った。 老人は顔をしかめている。 「煩いのは好かん。」 と何処かへ行ってしまった。 「さて、帰ろか。」 侑士に腕を引っ張られた。 「えっ?何で?」 「さっきのは出ていけってことや。」 スタスタと侑士はオレを引っ張ったまま部屋を後にした。 もう金持ちは意味分かんねぇよ!! 終
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