ありがとう

4/4
前へ
/137ページ
次へ
風呂から上がるとカレーのいい匂いが鼻をくすぐる。 どうやらカレーは成功したらしい。 オレはリビングに急いだ。 「飯、出来たぞ!」 嬉しそうに岳人が言った。 「ほんまや。美味しそうやなぁ。」 オレは食卓に座った。 「早く食べよう。冷めちゃうだろ?」 あぁとオレはカレーを口に運んだ。 「どうだ?」 岳人は不安と期待の目でオレを見ている。 きっと自分のお母さんに真剣に教えてもらい必死に覚えてオレに食べさせてくれたのだろう。 「美味いで。誰が作ったカレーよりも一番美味い。」 お世辞でなく本当に思った。 疲れなんか一瞬で吹っ飛んでしまった。 「よかった。侑士が元気になってくれて。」 岳人は笑顔でそう言った。 岳人はずっとオレを心配していたのだ。 昨日は意を決して電話してくれたのだろう。 自分がオレの邪魔にならないようにと。 「ありがとう。大好きやで。」 オレはテーブルの上で岳人にキスをした。 久しぶりのキスはカレーに負けないくらい優しい味がした。 終
/137ページ

最初のコメントを投稿しよう!

112人が本棚に入れています
本棚に追加