一緒に帰らへん?

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一緒に帰らへん?

10月だというのに雨がしとしと降っていた。 10月って普通そない雨降らんやろ… 誕生日に雨と言うだけでこんなに憂鬱になるものだったとは… そんなことを考えながら下駄箱に向かっていた。 靴を履き替えていると目の前に岳人が立っていた。 「どないしたん?」 「…傘、忘れた。」 朝は小雨だったので岳人のことだ走って来たのだろう。 「ほな、一緒に帰ろか。」 一つの傘に二人で入る。 珍しく相合い傘だ。 「なぁ、侑士。」 「ん?」 「誕生日おめでと。」 「ありがとう。」 岳人の家が見えてきた。 ふいに岳人はこちらを向いて頬にキスをしてきた。 「また、明日!!」 顔を真っ赤にして岳人は走っていく。 「やられたな。」 オレは頬を押さえ、折り畳み傘を隠しながら走っていく岳人を見送った。 終
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