天汁より甘めで

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「あのさ、侑士・・・今日って大晦日じゃん!」 そう、今日は大晦日。 オレは年越し蕎麦の付け合わせを買いに岳人とスーパーに来ていた。 「そうやなぁ。岳人はお揚げさんと天麩羅どっちがええ?」 「ん~。海老天が食べたい!じゃなくて!!その・・・一緒に初詣行こ?」 と後ろから抱き付かれた。 「ええよ。明日の朝な。」 「チゲェよ!除夜の鐘が鳴る前に行くんだって!」 と必死に説明してくる岳人。 「そんなん近くに神社あらへんし、それに年越し蕎麦は何時食うねん。」 「それは・・・。」 あらま、落ち込んでもた。 オレはクシャリと岳人の頭を撫でてやった。 「オレが高校に入って車の免許取ったら一緒に行こな。」 と頬笑む。 すると岳人は、 「うんっ!侑士、大好き!!」 と抱き付いてきた。 「侑士のかき揚げうまそうだな。」 と箸を伸ばしてくる岳人。 「岳人には海老2匹も買ったったやろ!」 と箸を阻止するオレ。 その時、除夜の鐘が鳴りだした。 「あっ!年明けた!!明けましておめでとぉ!」 「明けましておめでとう。今年も夫婦円満でおろな、岳人。」 「うん!」 とオレ達は蕎麦を啜る。 「初詣は何処に行くんだ?」 「そうやなぁ・・・。あっ!あそこの神社なんかええんちゃう?」
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