0人が本棚に入れています
本棚に追加
真っ暗な月明かりの下声が響く。
そのいくつかの音の粒はいたるところに散在している「いらないもの」にぶち当りいっそう響いて聞こえる。さらに月明かりのせいで一層に悲しく見える。
その声は泣き声のようで。
その声は誰かに助けを求めているようで。
声は旋律となって音符を紡いでいく。
綺麗なメロディーとは裏腹にその舞台は最低なゴミの固まりの上だった。
声の主はボロボロになった少年。それも中学生ぐらいの小柄な体格に男とも女ともつかないような可愛らしい容姿を身に纏っている。
それ以上に目に付くのはその傷だらけの体だった。服は泥で滅茶苦茶になっており、右腕には力が入らない。多分折れているのだろう。腕や背中、体中につけられた生傷がより一層少年をか弱くみせる。
最初のコメントを投稿しよう!