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空間が歪む。苦しい感覚。顔が歪む。
蒼空『はぁ…はぁ…はぁ…』
異空間にほうりだされた気分だった。とても息苦しい。体がねじれそうだった。
○
母『そーらー! 朝だよ~!』
蒼空『う…ん…もう朝か』
蒼空は母の目覚ましコールで目が覚めた。既にあの苦しみは無くなっていた。
蒼空『ん…いつの間にか寝込んでたのか…』
ベッドからゆっくり起き上がる。なんだかさっきとは違い、なんだか体が軽くなった感じがした。
蒼空『ふ~ん、なんか気分がいいなぁ』
階段を降りる。しかし、上機嫌すぎたのか、階段を降りる途中でコケた。
蒼空『うわあああ!』
ガッ!
蒼空『………あれ?』
目を瞑っていた蒼空が目を開けるとそこは逆様の世界だった。
蒼空『うわぁ! な、なんだこれ!』
蒼空は無意識のうちに脚を広げ、壁に引っ掛けて、転げ落ちるのを免れていた。
蒼空『は、はははは。すげぇな…』
晴菜『なにやってんの?』
セーラー服に着替えた晴菜が呆れた顔で2階から尋ねてきた。
蒼空『げっ! 晴菜!』
気が緩んだ蒼空は足を滑らせ、見事転げ落ちた。
蒼空『うっぎゃああぁぁ!』
ドタダダダッ!
晴菜『あ~あ…』
蒼空『きゅう……』
母『ブッ! アハハハハハハハハ!』
伸びた蒼空を見て、母は思わず吹き出した。
蒼空『もう……』
朝ご飯はトーストに目玉焼き、ソーセージサラダという洋風料理だった。
蒼空『いただきまーす!』
母『召し上がれ』
『全く…俺も食べてぇな~』
蒼空『ん?』
晴菜『どうしたの?』
蒼空『いや、さっきなんか言った?』
晴菜『ん? 言ってないわよ』
蒼空『そう?』
母『蒼空だけに"空"耳だったんじゃない?』
晴菜『ブッ! ハハハハハハハ! ウケる~!』
蒼空『くっ…』
晴菜はいつもクールだが、こういうところで爆笑するのは母さん譲りだ。いつもは生意気な晴菜だが、笑っているところは他の女の子と一緒で可愛らしい、と蒼空は思っている。
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