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蒼空は部屋の窓を開ける。心地よい風が入ってくる。この部屋は今は蒼空の部屋となっているが、昔は父さんの部屋だったらしい。
蒼空『ふぅ…風が気持ちいい…』
すると突然またあの空間の歪みに襲われ、蒼空はよろけてしまった。
蒼空『うっ…!』
そのまま蒼空は床に倒れ込んでしまった。
何時間寝たのだろうか。窓から入ってくる心地よい風はすでにやんでいて、日はとっくに沈んでいた。アナログ時計の短針は午後の8時を指していた。蒼空はふと目が覚める。
蒼空『う…ん…』
あの苦しみからは解放されていた。蒼空はゆっくり立ち上がると、大きく伸びをした。
蒼空『う~ん…!』
『よお! お前が2代目か?』
蒼空『うん?』
『こっちだよ。こっち』
蒼空は部屋を見渡すが、誰もいない。外にもいない。
『鈍い奴だなぁ、仕方ない。左むけ左!』
蒼空は言われるがままにやってみた。
『そのまま一歩前に出て』
蒼空『はい』
『右向いて』
蒼空『はい』
『一歩にでて、そこにいる』
蒼空『…何が言いたい?』
そこには机がおいてあった。
『ハッハッハ! 疑いたくなるのも仕方がない』
『あいつだって最初はそうだったさ』
『慌てて顔を洗いに行ったしな』
四方八方から未知なる声が聞こえてくる。蒼空は不気味なお化け屋敷に入った気分だった。
蒼空『そ…そんな! そんなこと…って』
机『信じられないと思うがこれは事実だ』
シーリングライト『お前は父親の能力を受継いだ…』
本棚『もっとも…初代より強力な力を隠し持っているが…』
蒼空『何の事…? 初代? 能力? 強力な力?』
机『まだ完全には目覚めていないらしい…』
ライト『でも覚醒の前兆を辿って来たかも…』
机『可能性はあるな…』
蒼空『覚醒…って何の事? 来たって…誰が?』
いつの間にか空は黒く澱み、大粒の雨を降らしていた。
『目覚めろ…』
蒼空『いや…』
『目覚めろ…』
『目覚めるんだ…』
『目覚めろ!』
蒼空『いや…いや…』
『目覚めるんだぁ!』
蒼空『いやだあぁぁぁぁぁーーーーーー!!』
ピシャアアーー!
外は雷が唸っていた。
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