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その日は蒼空は1人で学校から帰っていた。
そう。父親に会うためだ。茜たちには断っておいた。しばらくして、父親と…興とであった場所が見えてくる。内心、不安と期待が交差していた。
蒼空『もうすぐ見えてくるよっと…』
そこには赤髪がいた。そしてもう1人、興の隣に誰かがいた。
蒼空『母さん…?』
そこにいたのは間違いなく蒼空の父さんと母さんだった。もちろん、母さんと父さんは結婚していて、子供までいるんだから話していたって別に変ではない。だけれど…問題はなぜこんなところに二人でいるかなのだ。
母『あ、蒼空!』
興『……………』
蒼空『母さん!』
興『蒼空…』
蒼空『え?』
興に呼ばれ、ふと後ろを見ると突然固い何かに顔があたった。それは興の腹だった。興はギュッと蒼空を抱き締めていた。
興『蒼空…こんなに大きくなって…』
蒼空『ちょ、父さん! 恥ずかしいよ!』
興はそっと蒼空を解放した。蒼空は1歩下がり、胸に手を当てた。胸がドキドキしていたのが分かる。顔が赤くなって、ほてっているのが分かる。それも仕方がない。物心ついたころから今まで父親という存在を知らなかったわけだし、蒼空にとってその日、初めて父親に抱き締められたのだから。
興『雪…すまないな。俺のせいで苦労をかけて…』
雪『何言ってんのよ! 蒼空をこうして隠せていれたのもあなたが見張ってくれていたおかげよ』
ああ、そうだった。母さんの名前は雪と言うんだった。1回くらいしか聞いた事がなかったからすっかり忘れていた。父さんと結婚する前の名字は…たしか西沢だっけ?
興『しかしこうして5人とも無事にあのグリムたちからかくまえたのは奇跡だぞ』
蒼空『グリム…?』
興『ああ。すまない。お前に見せたいものがあったんだ。そこで詳しいことを話そう』
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