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ドアを開けて、母が帰ってきた。興の母であり、蒼空から見ればおばあちゃん。
母『いや~…買い物の途中でこの子にあってね、そしたら…』
母は買い物袋を手から落とした。母の目はすぐさま興をとらえた。
興『母さん…!』
母『…こ、興!』
母は急いで興の手を掴んだ。
母『んま~興! 久し振りねぇー! 仕事はどう? 大変じゃない?』
興『いや、なんとか…』
母『はぁ~…もう。帰ってくるなら最初から言ってくれれば良いのに! 母さん得意の肉じゃがを作ったっていうのに!』
興『はは…ごめん』
母『あら、蒼空の友達?』
茜、明日香、賢太、武は声をそろえて『こんにちは』と頭を下げた。
母『こんな時間まで何してたの?』
興『え?』
時計を見ると、いつの間にか短針は午後7時をさしていた。
母『まあいいわ! 母さん急いでご飯作るから!』
興『あ…ありがと』
『あの~』
そこには若干小学生くらいの大きさの女の子が立っていた。髪は栗色で、短髪。瞳は緑色に輝いていた。
母『ああ。そこの公園のベンチで座ってたからどうかしたの? って訊いたら泊まる家を探してるって言ったから連れてきたのよ』
『はいです。私、日暮 若葉といいます。先ほども言いましたようにですね。私が公園で夜を明そうとしていた所、たまたま通りかかったお母様に拾われまして』
興『見た所、君は…若葉ちゃんは小学生じゃないのかい?』
若葉『ええ…。でも私はお母さんを探しておりまして…』
沈んだ顔で言った。
興『ああ…ごめん』
若葉『いえいえ、謝らなくても結構です! ただでさえ拾われた鼠ですのに、あまつさえ泊めてもらう居候が家主に頭を下げさせるなんてとんでもないです!』
かなり自分を下げている。
蒼空『それはちょっといいすぎじゃあーー』
若葉『いえいえ、とんでもない! 私は歓迎されないべき居候! もう大事や細事まで、とことんコキに使ってやって下さい!』
小学生とは思えないほどしっかりした女の子だった。
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