希望という名の鷹

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母さんはとても若くみえる。必ず初めて会う人には20代と間違われるが、もう30過ぎた完全なおばさんなのだ。なのになんであんな若く見えるのか不思議でならない。 母さんは学生時代の頃から美人だったらしく、歩く度に男の目を引いていたと言う。しかし母さんは男に対してなかなか人に心を許さなかったらしい。男友達でも誰もメールアドレスを教えなかった。ある1人の男を除いては。 その男は母さんと幼稚園の頃から一緒だったらしく、いつも一緒だったという。そして母さんが学生の頃、誘拐された時に警察より早く駆け付けて救い出した。何とも信じられない男だ。そしてその後も順調に進み、そしてめでたく母さんと結婚。今では僕の父さんをやってる。 しかし、僕は父さんを知らない。会ったことがないのだ。僕が生まれた頃に来た事はあるのだが、覚えているわけもなく、小さい頃、母さんに『どうして僕にはパパがいないの?』と聞いたことがある。その時の母さんが言った返事は何とも信じがたいことだった。 僕のパパは地球を守る仕事をしているらしい。何とも馬鹿げた話だ。だから父さんは家に帰って来ない。母さんはそう思ってる。だけど僕はそうは思わない。絶対どっかの女と遊んでいるに違いない。 父さんを完全に信じている母さんの気が知れたもんじゃない。父さんの顔は写真でしか見たことがない。もっとも、学生時代の頃の写真だが。 この藍色の髪しているのが母さん。そしてこっちの顔が女の子っぽい赤髪の男の子が… 蒼空『赤い…赤髪…』 ドックンッ!… 蒼空『うっ!』 ドクン…ドクン…ドクン 蒼空『はぁ…はぁ……はぁ…』 (その男に関わるな) ドクン…ドクン…ドクン…ドクン… 蒼空『だ…れ…?』 ドクン…ドクン…ドクン…ドクン…ドクン 脈打ちはどんどんと早くなる。 (その男に関わるな!) ドックン…ドックン…ドックン…ドックン 蒼空『はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…』 (その男に関わるなぁぁ!) 蒼空『はぁ…はぁ…興お父さんに?』 ピキーーンッ! 刹那、蒼空の中で何かが弾け飛ぶ。蒼空はそのままベッドに倒れ込んでしまった。
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