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約束だよ。
だから、待っててね。
少年は一人で鞠を蹴っていた。大人たちがよく行っていた「蹴鞠(けまり)」という遊びだと、母が教えてくれた。
でも自分と遊んでくれる人は、母以外には誰もいない。
その日も一人で遊んでいると、誰かが飛んでいく鞠を受け止めた。
「……」
その子は鞠を持ったまま、自分のところへ来た。
「君、ひとりなの?」
「う、うん…」
「なら、僕と遊ぼうよ」
「……!」
予想外の言葉に、自分の目頭が熱くなるのを感じた。
「僕がこわくないの?」
「こわい?…何で?」
「だってホラ、耳や目が他人と違うよ?それに髪の色だって…」
するとその子は鞠を足元に置き、髪に触れてきた。
「キレイだね」
この子は自分が怖くないのだろうか?
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