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「ね、ねえ珊瑚ちゃん」
「ん?」
尻尾を振る雲母を抱き上げ、振り返る。
「遅いね弥勒様」
「…ああ、法師様なら路銀を稼ぎに行ったけど」
初めて聞く言葉にかごめは首を傾げる。
「路銀??」
「まあ、お金のことだよ」
その頃。
とある店で、たくさんの男達が何かを笑いながら話していた。
「よっしゃ、俺の勝ちだ」
「おお、今日はツイてんじゃねえか」
「羨ましいぜ、ったく」
すると誰かが暖簾をくぐって入ってくる。
男達はその姿を目にするなり固まった。
「……っ」
すると奥から店主が現れ、客人と言葉を交わし、店の中へと連れて行く。
「…ああ、びびったぜ」
「本当だよ」
「こちらでございます」
案内された部屋に入ろうとした途端、罵声が聞こえた。
「待ちやがれ!」
「捕まえて狸汁にしてやる!!」
そして必死に逃げ回る一匹の狸。
「ーハチ!」
すると狸は一直線に自分のところへ来た。
「お、お助けを~」
「どうしたんだ、何でお前がこんなところにいる?」
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