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その質問には答えず、追ってきた男達を見る。
「そいつの知り合いか?」
追ってきた男の一人が、二人の様子を見て聞く。
「そうだが、こいつが何かしたのか?」
「いやね、さんざん遊んでおいて今更金はないと言ってくるもんでね。少し懲らしめてやろうかと」
男の言葉に、ハチはブルブルと首を横に振る。
「とんでもない。あっしは賭け事なんか嫌だと言ったんですが…」
気の弱い者が、こうした連中の餌食になることはよくあることだった。
言葉巧みに連れられて、身包み剥がされてしまうのだ。
「あぁ?」
「何か言ったか?ん?」
圧力をかけてくる男達を前にして、長いため息をつく。
(どうすっかな…)
今回の騒動にはどちらにも非がある。
ハチを脅して連れて来た男達も、それを断れなかったハチも悪い。
そんなことを考えていると、一番前にいた男が手を差し出してきた。
「そいつを渡してもらおうか」
「嫌です」
即答である。
「ならこいつの負けた分、あんたが払ってくれるのか?」
「それも嫌です。
こいつの負けは負けです」
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