リンドウ<正義>

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 そこで一旦言葉を区切る。 「ただし、こいつを賭けての勝負ならやりましょう」  予想外の言葉に、その場にいた全員の目が点になる。 「私が勝ったら、こいつを自由にして下さい」 「俺達が勝ったらどうすんだ?」 「煮て食うなり、焼いて食うなりして下さい」  その後別の座敷に通され、頭らしい男を向かい合って座る。  ハチはその後ろで男達によって、見張られていた。  その結果、男達は負けた。 「それではハチはもらっていきますよ」  笑顔で言うと、他の男が制止する。 「このまま帰らせるもんか!」 「相手は一人だ。やっちまえぇ!」  無関係の客達は、巻き込まれるのはごめんだと逃げ出した。  廊下に出た自分達を取り囲む男達を前に、ハチは小声で話しかけてくる。 「…だ、旦那」 「何だ?」 「大丈夫なんでしょうか?」  お前誰に聞いてんだ?  -そう答えるよりも早く、二人の男が襲い掛かってくる。 「死ねやぁ!」  攻撃をかわし、一人目の腹に拳を叩き付けた。続いて二人目の背後に回り、背中を釈杖の先で突く。 「こ、この野郎!」 「殺せえ!」  すると残りの四人がばらばらに襲って来た。顔を青くするハチに「しゃがんでろ」と一言告げる。  片手で三人目の手首をつかんで放り投げ、四人目の打撃を振り払った。 「くそお!」  最後の五人目の拳を左手で受け止める。  その隙に先ほど倒した四人が、ハチを襲った。 「ひええ~」 「!」  素早く空いている右腕を上げた途端、男達は吹っ飛んだ。
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