10/28
前へ
/52ページ
次へ
そうこうしている内に夕食の時刻となり、池田三曹らと食堂へ行った。 すると食堂では味方の噂で持ちきりである。 「ロケット戦闘機が来るらしい。」 「いや、噴進発動機だからロケットとは違うぞ!」 などなど、どうやら俺の同期の神が居る、震電改戦闘機隊が来るらしいと言うのだ。 帝国空軍初の噴進戦闘機装備である、虎の子部隊をこの決戦に持ち出して来るとは、帝国軍の必勝の意気込みを感じずにはいられなかった。 食事を終え、部隊に戻ると早くもマリアナ決戦の前哨戦が始まった事を聞かされた。 マリアナ諸島の東、三百kmの空域で哨戒飛行中の烈風が、我が軍を偵察しに来たと思われる、敵飛行艇を撃墜したと言うのである。 その後も敵はしつこく偵察機を繰り出して来て、中には艦載機も含まれていると言うのだ。 いよいよ敵機動部隊が近づいて来たと皆、顔を見合わせ、いつでも来い!俺達が全て叩き堕として殺る!と心の中で誓い合った。 日が暮れて、隊長から一旦宿舎に帰り休んで明朝に備えろ、と言われたが誰も言う事を聞かずに、待機室で休んでいた。 皆、決戦を前に興奮して寝るどころではなかったのだ。 明日の決戦が帝国の今後の明暗を分けるのだ!
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1082人が本棚に入れています
本棚に追加