クールで無口なお嬢様は電波で

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「……っ!!」 今のは、何だ? 何か、思い出してはいけない、そんな気がする。 なのに、それを思い出す。 まるで誰かに、仕組まれたかのように。 ──ふぅん、へんななまえ。 ──ばーか!さいこうじゃん! ──そもそも「はーれむ」ってなに? ──おまえものしりなのにしらないのか!? ──……うん。 ──それはあれだ!もてもてってことだ。 ──そうなの? ──おれはもてもてだからな! ──そうだね ──…そこですこしはひていしてほしい ──なんで? ──なんでって…おまえけんぞうかよ…… ──けんぞう?だれ? ──あれ?え? ──けんそん? ──そうそう!それそれ!あたまいいな! ──……。 そこで記憶は途切れた。 それは微笑ましい記憶……それなのに。 思い出せない。 誰と会話していた。 そもそも、誰がしゃべっていたのかも思い出せない。 なのに、言葉は分かる。 声も聞こえる。 なのに思い出せない。 矛盾。 酷い矛盾だ…。 くらくらする。 でも、何かが掴めた。 俺は、何かのチームに入っていたんだ。 何かは分からない。 遊びで頂点を目指すなんていう、子供が思い付きそうな目的で。 この話を知っていそうな人も知っていた。 少しだけ迷う、自分が居た。 このままで良いじゃないか。 忘れたなら、作っていけばいい。 無理に思い出さなくていいじゃないか──。 良くない。 そんな結論はあり得ない。 俺は決めたんだよ。 取り戻す。 必ず……。
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